日本薬学会第132年会(札幌)学生優秀発表賞

市原麻由さん おめでとう


31E13-pm08S 中国四川省産 Cremanthodium lineare の化学的種内多様性
○市原麻由・齋藤義紀・Gong Xun・黒田智明・通 元夫 (徳島文理大薬・昆明植物研・立教大理)

【目的】我々は,中国横断山脈地域におけるキク科植物を研究対象として,化学的・遺伝的多様性に関する実態調査を行っている.Cremanthodium属は本地域に約70種が生息しているが,個体数が少なく,個体サイズも小さいために,多様性はもちろんのこと,化学成分が知られている種も限られている.今回初めてC. lineare 5試料の成分を分析し,化学的な種内多様性について実態調査を行った.

【方法・結果】2009年に中国四川省北西部の5地点で採集したC. lineareの根をそれぞれ酢酸エチルで抽出し,得られた抽出エキスを各種クロマトグラフィーにより分離・精製した.その結果,計16種のエレモフィラン型およびバッカン型のセスキテルペン類を単離・構造決定し,うち2種が新規化合物であった.それぞれの試料から最も多く単離された成分は,化合物15と様々であった.また,複数の試料に共通して含まれていた化合物はわずかに1種のみで,検討した試料はいずれも異なる成分組成であることが判明した.以上より,C. lineareは複雑な化学的種内多様性を有することが示唆された