3つのポリシー

養成する人材像に関する基本コンセプト

「理念」

薬学部は、全人教育により豊かな教養と人間性を有し、課題発見能力・問題解決能力を身に付けた地域や国際社会に貢献できる薬剤師、及び、薬剤師資格を有した多様な人材を育成することを目的とする。

「教育目的」

薬学部は、薬学に関して深い知識・技能・態度をもつ有能な人材を育成するとともに、最高最新の科学を教授研究することを目的とする。
薬学科は、薬剤師として必須の知識・技能・態度を習得するだけでなく、問題解決能力を有した薬剤師を養成することを目的とする。

「教育目標」

1.人文科学系、社会科学系などの多様な教養科目の充実による一般教育、教員と学生の緊密な信頼関係に基づくコミュニケーション力の育成、ボランティア活動などを通じた倫理観の涵養、など全人教育に重点を置く。

2.系統だった薬学専門教育に裏付けされた医療薬学教育の実践、海外の大学との人的交流による国際的な感性の醸成により、幅広い知識と豊かな人間性を身に付けた薬剤師の養成、世界に飛躍する薬剤師資格を有した人材の育成を目標とする。

3.将来の「チーム医療」において、多職種間連携を実践する人間力を備え、実力を充分発揮する薬剤師を養成することを目標とする。

4.人の命と健康を守る薬を創製し、薬と生体がどのような仕組みで反応するのかを明らかにし、より有効に、より安全に薬を与える方法を研究し、その成果を世界に発信します。また、研究活動を通して、高度な問題解決能力を発揮する薬剤師を養成することを目標とする。

ディプロマ・ポリシー(DP)

「自立協同」の精神のもと、科学的根拠に基づいた創造的思考により人類社会の抱える様々な薬学的課題の解決に取り組み、医療・福祉・公衆衛生を実践できる能力を有する人材を育成する。定められた教育課程を修めて所定の単位を修得し、下記の基本的な資質・能力を身につけた者に学士(薬学)を授与する。

1.プロフェッショナリズム

1)薬剤師として必要な豊かな人間性と倫理観、医療・福祉・公衆衛生に貢献する精神を備えている。
2)薬剤師に関わる法規範を理解し、職務を果たすための責任感を備えている。

2.専門的知識

1)物理・化学・生物系に関する基礎薬学の知識と技術を修得している。
2)基礎薬学の知識を基盤とした薬理・病態、医薬品情報、薬物動態・製剤に関する医療薬学の知識と技術を修得している。
3)基礎薬学と医療薬学の知識を基盤とした衛生・公衆衛生に関する衛生薬学の知識と技術を修得している。
4)基礎薬学、医療薬学、衛生薬学の知識を基盤とした医薬品研究開発、先端医療薬学、漢方・セルフケアのいずれかに関する専門知識と技術を修得している。

3.情報・科学技術活用能力

1)保健医療に関する統計情報・データから医療における課題を的確に見出し、その対応策を立案することができる。
2)医療や科学に関するデータベースから医薬品情報や薬学的課題に関する文献情報を収集・解析し、その結果を適切に活用することができる。

4.コミュニケーション・多職種連携能力

1)患者や医療人の言動をその文脈を踏まえて理解することができ、共感的なコミュニケーションをとることができる。
2)地域医療やチーム医療に関連する多様な職種と信頼関係を構築し、連携・協同して医療を実践する意欲を備えている。

5.科学的探究力

1)最先端の薬学に関する学術論文を読解し、その内容について評価することができる。
2)薬学的課題の解決に向けて、科学的根拠に基づいた創造的思考により課題に取り組む探究心(研究マインド)を備えている。
3)自ら行った研究成果を解析・理解するとともに、学術的な報告・発表とこれに基づいた討論を行うことができる。
4)最先端の薬学・医療を生涯にわたって学修することの重要性について説明できる。

6.社会貢献力

1)患者や生活者の身体的・社会的背景を総合的に把握して、医療・福祉・公衆衛生を実践する意欲を備えている。
2)社会における医療のあり方について、地域社会から国際社会にわたる幅広い視野に立って理解することができる。
3)社会における環境・衛生上の問題について、科学的知見に基づいた解決策を立案することができる。

7.薬物治療実践能力

1)医療薬学を基盤とした薬物治療を実践するために必要な知識を修得している。
2)薬物治療における具体的な症例や事例の問題点に対し、その改善や解決策を立案することができる。

カリキュラム・ポリシー(CP)

ディプロマ・ポリシーを達成するため、体系的なカリキュラムを1年次から6年次にわたって段階的に構築・実施する。カリキュラム実施方針ならびに学修成果の評価方法を以下に示す。

1.プロフェッショナリズム

薬剤師として必要な人間性と倫理観を醸成するための科目を1年次から各学年にわたり受講する。幅広い視野で判断ができる能力を身につけるため、1年次に医療・福祉・公衆衛生・製薬に関わる施設・企業を訪問する早期体験学習を受講する。また一般教養教育における人文科学・社会科学系の授業科目を履修する。2年次と4年次に医療倫理と法規・規範について学修する授業科目をそれぞれ受講する。さらに4年次開講科目にて参加・実践型の実務実習前教育を学修した後、5年次の実務実習において人間性豊かな医療を実践する態度を体系的に身につける。また3~6年次の卒業研究活動を通じて薬剤師として必要な人間性を育むとともに、医療や研究に係る倫理観を身につける。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。「関心・意欲・態度」に関わる学修成果は、レポートやプレゼンテーション、SGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。

2.専門的知識

医薬品に関する科学的知識について体系的に学修するため、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学の知識と技術を修得する講義・演習・実習科目を1年次から学年進行に応じて受講する。1,2年次では物理・化学・生物系薬学に関する科目を中心に履修する。3,4年次では薬理・病態、医薬品情報、薬物動態・製剤、衛生・公衆衛生に関する科目を中心に受講する。また3年次より本学独自の3つのコース(医薬品研究開発、先端医療薬学、漢方・セルフケア)のいずれかを選択し、より実践的で専門性の高い知識と技術を修得する。
【学修成果の評価方法】
筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。また2~4年次の特別演習および6年次の薬学総合演習における試験により、その総括的な学修成果の評価を行う。

3.情報・科学技術活用能力

情報・科学技術を医療・薬学に活用するために必要な科目を1年次から受講する。1年次では基本的な情報技術を学修する演習科目と、データサイエンスに関する基礎知識を修得する科目を履修する。3,4年次では、保健医療における統計資料、デジタル技術やビッグデータの活用状況を把握し、その情報・科学技術を利活用して医療や公衆衛生上の課題発見・解決につなげるための学修に取り組む。5年次の実務実習では医療機関や地域における医薬品情報を活用した医薬品の適正使用について学修する。また3~6年次の卒業研究活動を通じて、科学系・医療系データベースからの情報収集・解析と活用について学修する。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。「技能・思考・判断」に関する学修成果は、レポートやプレゼンテーション、SGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。

4.コミュニケーション・多職種連携能力

薬剤師として必要なコミュニケーション能力と多職種連携能力を醸成するための科目を1年次から各学年にわたり受講する。1年次は体験学習などを通して多様な背景を持つ人々と良好な人間関係を構築する。2年次からは、患者や医療従事者と適切なコミュニケーションをとれるよう、医療コミュニケーション学、チーム医療論、実務実習事前教育などの科目において参加型学修に取り組む。5年次の実務実習では患者との面談・指導の実践や、医療に関連する多職種との連携を実践する学修に取り組む。また1~3年次の薬学専門領域の各実習や3~6年次の卒業研究活動を通じて、同僚や先輩・後輩と連携・協同して実験や研究に取り組む意欲を培う。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。「意欲・思考・判断」に関する学修成果は、レポートやプレゼンテーション、SGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。

5.科学的探究力

科学的探究力と問題解決能力を身につけるための体系的なカリキュラムを1年次から6年次にわたって段階的に受講する。研究マインドの基礎を築くため、1~3年次において薬学専門領域の各実習を受講する。また低学年次より自主的に研究活動に取り組むことのできる学部内インターンシップ制度を選択・参加する。主体的な学習態度、課題発見・問題解決能力を養うため、3年次から研究室に配属して卒業研究に取り組む。卒業研究の一環として薬学に関する学術論文を読解し、その内容について紹介する。6年次の卒業研究発表会において、自ら行った研究成果について発表・討論する。また学術集会や学会などに積極的に参加し、研究成果を発表する。5年次の実務実習では卒業生や先達薬剤師とともに医療現場で活動し、医療の質的向上に貢献するため、エビデンスの再現性・信頼性・具体性を理解する。また医療人としての心構えや行動規範について学び、生涯にわたって研鑽を積み続ける意義や姿勢について学修する。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。「技能・意欲・思考・判断」に関する学修成果は、レポートやプレゼンテーション、SGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。また6年次の総合薬学研究4において、その総括的な学修成果の評価を行う。

6.社会貢献力

社会における医療の役割について理解し、総合的に患者をみる姿勢を醸成するための科目を1年次から受講する。1年次では薬剤師として必要な資質について学修する薬学概論と、医療・福祉・公衆衛生に関わる施設を訪問する早期体験学習を受講する。2~4年次では社会と薬学および臨床薬学に関する科目において、患者の身体的・社会的背景を総合的に把握して医療を実践する意欲を培う。また社会・地域における薬剤師の活動や医薬品の規制、医療マネジメント・医療安全の実践について学修する。衛生薬学に関する科目において、社会における公衆衛生、食品衛生、環境衛生上の課題発見と解決策の立案について学修する。国際的な視野を広げるため、2,3年次の英語科目において医療現場や薬学で用いられる専門英語について学修する。5年次の実務実習ではこれまで学修した知識を活用して、医療や福祉、地域社会の現場における薬剤師の役割について学修する。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。「意欲・思考・判断」に関する学修成果は、レポートやプレゼンテーション、SGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。

7.薬物治療実践能力

薬物治療を実践できる能力を身につけるため、薬物治療に必要な知識を修得する医療薬学の科目と、薬物治療の実践力を培うための臨床薬学の科目を、3年次から体系的に受講する。3~4年次における医療薬学系の科目では疾患ごとの薬物治療について学修し、薬物治療を実践するための基盤を作る。4年次の臨床薬学系の講義・演習科目において薬物治療の個別最適化について学修した後、5年次の実務実習において臨床現場における患者個々の状況を把握した薬物治療の実践について学修する。
【学修成果の評価方法】
「知識・理解」に関する学修成果は筆記試験や口頭試問、レポート等で評価する。また3,4年次の特別演習、6年次の実務実習事後学習および薬学総合演習により、その総括的な学修成果の評価を行う。「思考・判断」に関する学修成果は、プレゼンテーションやSGD、PBL等を、ルーブリックを用いて評価する。

アドミッション・ポリシー(AP)

1.学部の求める人物像

 薬学部では、医療人として「くすり」の専門家を担う薬剤師を養成します。チーム医療で必要な多職種間連携を実践する人間力を育てるために、最新の薬学を勉強するとともに、豊かな教養と人間性を身に付け、地域や国際社会に貢献できる資質を備えることが重要であると考えています。そのために、密度の高い日々の学習や研究活動への参加をとおして、より深い基礎学力、研究マインド(課題発見能力と問題解決能力)、コミュニケーション能力を養成します。このような薬学部での取り組みに共感し、薬学部の勉学に取り組みたいと強い意欲をもっている人を求めます。

2.高等学校等で修得が望ましい内容

1.薬学部での修学内容に対応可能な基礎学力を、高等学校等において修得している。

2.課題や問題に対し主体的に対応できる能力をもっていること。

3.豊かな人間性、協調性、コミュニケーション能力を有し、将来において医療人として活躍する明確な意欲をもっていること。

3.入学試験の基本方針

 さまざまな角度から受験者の資質、能力や将来性を把握するために総合型選抜、学校推薦型選抜、一般選抜を実施します。