ご挨拶:3回目の春陽を迎えて




平成27年4月に生まれた当研究室が、3回目の桜花の季節を迎えました。2年の歳月を費やして研究室のハードとソフトを整備し、
本日から「亜鉛シグナル研究」が3年目の新たなステージに入ります。以下に、当研究室の新年度目標を記します。

1:「探究心を養う:Pharmacist-Scientistの育成」」
 以下の「亜鉛シグナル研究」を通して探究心を養成します。
@がんと上皮性組織における亜鉛シグナルの役割解明
A心臓機能における亜鉛シグナルの役割解明
B創薬: 亜鉛シグナルを制御する方法の確立
C再生医療: 亜鉛シグナルの異常に起因するモデル疾患の治療戦略研究

2:「未知の発見と解明:Investigation」
 学生と教官が能動的に研究に挑み、その成果を世界に発信します。

3:「不撓不屈:Never Give Up」
 諦めない心構えで「亜鉛シグナル研究」に邁進します。

初心を忘れず、時を無駄にせず、強い意思と柔軟な思考を持って、「亜鉛シグナル」を通した教育と研究に邁進する所存です。
今後ともご指導とご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成29年4月3日
病態分子薬理学研究室
教授

深田俊幸





ご挨拶:二度目の新年を迎えるにあたり


新年明けましておめでとうございます。

平成27年4月に誕生した当研究室が、二度目の新年を迎えました。 時の歩みはいつでも同一で誰にでも平等であり、正月も例外ではありません。しかし、多くの人々は元旦を気が引き締まる思いで迎え入れ、1年の始まりに特別な思いを感じます。 「一年の計」:年初の貴重な時節に表す決意の言葉には、新たな年の歩み方への覚悟が込められています。

「随処作主:随処に主となる」:今年はより飛躍した自身と研究室を創造すべく、新たな思考と様々な手法を積極的に導入して、果敢に亜鉛シグナル研究と薬学教育に挑む所存です。

@がんにおける亜鉛シグナルの役割解明
A心臓機能における亜鉛シグナルの役割解明
B皮膚毛髪における亜鉛シグナルの役割解明
C創薬:亜鉛シグナルを制御する方法の確立

本年もご指導とご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成29年1月
病態分子薬理学研究室
教授

深田俊幸



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お見舞い:熊本地震


4月14日から16日にかけて発生した熊本地震は甚大な被害をもたらしました。
亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

平成28年4月17日
病態分子薬理学研究室 研究室員一同


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ご挨拶:2回目の春陽を迎えて


昨年4月に生まれた当研究室が、2回目の春を迎えました。

1年の時間をかけて研究室のハード面とソフト面の両方を熟考し、運営と研究の方針を固めるとともに、本日新たな教官スタッフ2名を迎え入れました。 「亜鉛シグナル研究」が、優秀な学生とスタッフとともに新たなステージに入ります。以下に、本日の全体ミーティングで示した当研究室の目標を記します。

1:「研究する薬剤師の育成:Pharmacist-Scientist」
 「亜鉛シグナル研究」を通して探究心を醸成します。

2:「未知事象の解明:Investigation」
 学生と教官が能動的に研究に挑み、その成果を世界に発信します。

3:「不撓不屈:Never Give Up」
 諦めない心構えで「亜鉛シグナル研究」に邁進します。

初心を忘れず、時を無駄にせず、強い意思と柔軟な思考を持って、「亜鉛シグナル」を介した教育と研究に邁進する所存です。

今後ともご指導とご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成28年4月2日
病態分子薬理学研究室
教授

深田俊幸




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ご挨拶:新年を迎えるにあたり


新年明けましておめでとうございます。

昨年4月に産声をあげた当研究室が、初めての新年を迎えました。
初心に戻り、講義や講演でも時々お伝えしていることを振り返ります。それは、「我々に平等に与えられているのは、刻々と進みゆく時間の流れだけである」ということです。 新年を祝うお正月は時節の歩みの一つに過ぎません。しかし、私たちは元旦に時間の歩み以上の特別な思いを感じる習慣を持っています。

一年の計は元旦にあり:その意味するところは、今年の不退転の覚悟を年初に決心することです。
「時」を無駄にせず、「不撓不屈」を旨に、柔軟な思考で「型」を破って、薬学教育と亜鉛シグナル研究に邁進する所存です。

本年もご指導とご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

平成28年1月
病態分子薬理学研究室
教授

深田俊幸

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病態分子薬理学研究室は平成27年4月から始まった新しい研究室です。

健康と病気に関わる新しい概念「亜鉛シグナル」を研究しています。

キーワードは亜鉛トランスポーター亜鉛シグナル創薬です。

1:亜鉛トランスポーターとは
亜鉛は生命に必要な元素であり、その欠乏は成長の遅れ・脱毛・皮膚炎・神経機能の異常・免疫力低下などをもたらします。亜鉛の低下は偏った食事や老化によっても引き起こされます。このように重要な亜鉛を細胞内外に運ぶ分子が亜鉛トランスポーターです。

2:亜鉛シグナルとは
亜鉛トランスポーターが輸送する亜鉛は「情報の運び屋」として機能しており、このような亜鉛の働きは亜鉛シグナルと呼ばれています。

3:亜鉛シグナルの異常が病気をもたらす
最近、亜鉛シグナルの異常が病気に関わることが明らかになり、薬剤開発の視点から亜鉛シグナルが注目されています。

研究テーマ:「亜鉛シグナルの生理的意義の解明と制御方法の開発」

がんにおける亜鉛シグナルの役割解明に挑みます。

皮膚毛髪の発生における亜鉛シグナルの役割解明に挑みます。

神経における亜鉛シグナルの役割解明に挑戦します。

創薬に挑みます:亜鉛シグナルを制御する方法の確立。

研究を通して伝えたいこと:「研究マインド(探究心)」と「不撓不屈(諦めない心構え)」

探究心を養いたい, 実験でドキドキしてみたい, 何かを発見したい, 学会で発表してみたい, 世界と勝負したい,etc,
そのような学生、大学院生、研究員を歓迎します。私達と一緒に新しい歴史を創りましょう!


 

研究室員紹介

教員

教授
深田 俊幸Toshiyuki Fukada

最終学歴:平成10年3月 大阪大学大学院医学系研究科博士課程 修了

着任年月日:平成27年4月

学歴
平成2年 広島大学生物生産学部生物生産学科 卒業
平成4年 広島大学大学院生物圏科学研究科修士課程 修了
平成10年 大阪大学大学院医学系研究科博士課程 修了

職歴
平成4〜6年 持田製薬株式会社製剤研究室
平成11〜15年 Cold Spring Harbor Laboratory
平成15〜25年 理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター(統合生命医科学研究センター)
平成26〜27年 昭和大学歯学部口腔病態診断科学講座口腔病理学部門
平成27年〜現職

講師
原 貴史Takafumi Hara

最終学歴:平成21年 3月 京都大学大学院薬学研究科博士課程 修了

着任年月日:平成28年 4月

学歴
平成16年 東京薬科大学薬学部薬学科 卒業
平成18年 東京薬科大学大学院薬学研究科修士課程 修了
平成21年 京都大学大学院薬学研究科博士課程 修了

職歴
平成21-22年 立命館大学生命科学部
平成22-25年 京都大学大学院薬学研究科
平成25-26年 京都大学大学院医学研究科
平成26-28年 Stanford University of Medicine
平成28年-現職

助教
高岸 照久Teruhisa Takagishi

最終学歴:平成28年3月 徳島文理大学大学院薬学研究科薬学専攻 博士課程 修了

着任年月日:平成28年 4月

学歴
平成24年 徳島文理大学薬学部薬学科 卒業
平成28年 徳島文理大学大学院薬学研究科薬学専攻 博士課程 修了

職歴
平成28年-現職

趣味:テニス、車(鑑賞)、登山(超初心者)


学生


第1期生(5年生)

川真田 朗子
佐々木 晶菜

佐藤 克哉
四宮 有規

永田 勇次
増尾 優人




第2期生(4年生)

伊藤 伽奈
浦加 紗希
大橋 拓人

勝岡 美菜
河原 敬利
鈴江 由佳

野村 侑希
畠中 悠紀子
東野 瑠架

平成27年度チューター3年生

竹内 千晶
武富 海志

竹内 美穂
武村 杏菜

平成28年度チューター2年生

張 智赫
都築 秀尚
手束 佳子

出口 貴広
東川 将也



平成29年度チューター1年生

高村 拓樹
武田 栞太
武田 侑士

武市 舞菜
棚原 光樹



研究内容:亜鉛生物学と亜鉛シグナル

すべての生命体において亜鉛は必須要素である.
亜鉛は生体における存在量としては鉄の次に多い必須微量元素であるにもかかわらず,亜鉛が生命維持の必須要因であるその理由については今まであまり注目されてこなかった。 一方,最近の遺伝学や分子生物学の発展によってにわかに“亜鉛生物学”が注目を浴びている。 「なぜ亜鉛は生命に必要であるのか?」:長く問われてきたこの問題に,「亜鉛によるシグナル伝達:亜鉛シグナル」をキーワードに解明するのが本研究室の目標である。


研究の原点

1:本研究室における亜鉛生物学の原点は,細胞内シグナル伝達の研究にある(図1)
細胞内シグナル伝達の活性化に伴う細胞機能の誘導に亜鉛トランスポーターが関わることを見出して,その生理的意義と疾患における関与について 分子・細胞・個体レベルの研究手法を用いて追求した。その結果,亜鉛トランスポーターを介する亜鉛がシグナル因子として機能すること, この亜鉛シグナルが様々な生理現象や病態形成に関わることが明らかになってきた。




図1:シグナル伝達研究から亜鉛シグナル研究へ


2:亜鉛トランスポーターと亜鉛シグナル
ヒト成人は約2gの亜鉛を保有し,その維持のために毎日15mg程度の亜鉛の摂取を必要とする。その欠乏は,免疫不全や成長障害を初めとする諸症状を呈する亜鉛欠乏症をもたらす。 亜鉛の恒常性を制御する亜鉛トランスポーターには,細胞質中の亜鉛量を上げるSLC39/ZIPファミリーと下げる方向に作用するSLC30/ZnTファミリーが存在する(図2)。 モデル生物やヒト臨床遺伝学の研究によって,亜鉛シグナルが細胞内外で特異的な亜鉛シグナル機軸を形成して統合的な生命機能の制御に重要な働きをしていること(図3), さらに亜鉛トランスポーターや亜鉛シグナルが様々な疾患の新たな分子マーカーあるいは標的分子になる可能性を示している。以下に今までの研究内容を説明する。
参照文献(総説):Fukada et al, JBIC 2011; Fukada and Kambe, Metallomics 2011
実験医学増刊.知る・見る・活かす! シグナリング研究2015; 別冊 医学の歩みレドックスUPDATE, 2015
(書籍):Fukada et al, Zinc Signals in Cellular Functions and Disorders 2014 (Springer)



図2.亜鉛トランスポーターの種類と局在
A:SLC30/ZnTファミリーは,N末端とC末端を細胞質側に向けた6回膜貫通型タンパク質と推定されている。 膜貫通領域にはヒスチジン2つのアスパラギン酸で構成された領域があり,亜鉛結合に関与すると考えられている。 SLC39/ZIPファミリーは8回膜貫通型のタンパク質で,N末端とC末端を細胞外または細胞内小器官内腔側に向けたトポロジーが推定されている。
B:亜鉛トランスポーターの細胞内における局在



図3.亜鉛シグナル機軸
A:亜鉛シグナルとは,細胞膜や細胞内小器官の膜に局在する亜鉛トランスポーターやカチオンチャネル, あるいはメタロチオネインなどによって媒介される, 細胞内外で近遠隔的にシグナル因子として機能する亜鉛イオンの作用を指す。
B:それぞれの亜鉛トランスポーターからの亜鉛シグナルは,選択的に標的分子を制御して特定の細胞機能を司っている。 この亜鉛シグナル機軸は特定の機能分子やシグナル伝達経路を制御して細胞機能や器官機能に影響を与えており, その破綻はその機軸に対するバックアップ機構がない限り病気の原因となる。



主な研究成果

1:骨・歯・結合組織の形成と疾患に関わる亜鉛トランスポーターZIP13
亜鉛の欠乏は骨密度の低下や皮膚の脆弱化をもたらすことが知られていたが,そのメカニズムは不明であった。 我々は,骨や歯に発現する亜鉛トランスポーターZIP13に注目して解析してその遺伝子欠損(Zip13-KO) マウスと類似疾患(spondylocheirodysplastic form of Ehlers-Danlos syndrome:SCD-EDS, 脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症候群;OMIM 612350)を解析し, ZIP13の亜鉛シグナルが骨・歯・結合組織の形成に重要であることを解明した(図4)。
参照論文:Bin et al EMBO MM 2014;  Bin et al, JBC 2011;  Fukada et al, PLoS One 2008


図4.Zip13-KOマウスとSCD-EDS患者
A:Zip13-KOマウスにおける成長遅延(左上),脊柱後彎(右上),骨長短小・骨量低下(左中:脛骨と大腿骨),骨芽細胞の機能低下(左下),軟骨細胞の分化異常と軟骨カラム形成異常(右下:H&E染色).
B:Zip13-KOマウスに見られる切歯形態異常(上)と歯根の象牙質形成異常(下)
C:SCD-EDS患者(ポルトガル人男性:22歳当時)は機能喪失型ZIP13を劣性遺伝的に保持し,低身長,窪目,眼瞼裂斜下,乱視,部分性無歯症,皮膚脆弱化,下肢静脈瘤,脊柱異形成を示す.
D:ZIP13の亜鉛シグナルは,SMADの核移行を制御して骨や結合組織の形成に関与する.


2:成長を制御する亜鉛トランスポーターZIP14
ZIP14は軟骨細胞,脳下垂体,肝細胞に多く発現する亜鉛トランスポーターであるが、その生理的意義は不明であった。 我々はZip14-KOマウスを解析し、ZIP14を介する亜鉛シグナルがホルモン受容体のシグナル伝達を制御して骨代謝と全身成長を調節していることを解明した(図5)。
参照論文:Hojyo et al, PLoS One 2011


図5.Zip14-KOマウス
A:Zip14-KOマウスは成長遅延(上段),斜頸(中段),骨量低下・脊柱側彎・四肢短小(下段)を呈する
B:ZIP14の亜鉛シグナルは,PDEの酵素活性を抑制してcAMP量を維持することにより,各種ホルモン受容体(GPCR)の情報伝達を制御して全身成長と骨形成を促進する。


3:免疫応答を制御する亜鉛トランスポーターZIP10
亜鉛欠乏は重篤な免疫不全を引き起こすことが知られていたが、その分子メカニズムは明らかではなかった。 我々は、B細胞に発現するがその役割が不明であった亜鉛トランスポーターZIP10に着目し、 B細胞特異的な遺伝子欠損マウスを解析して, ZIP10の亜鉛シグナルがB細胞の初期発生と抗原受容体のシグナル伝達に必要であることを見出した(図6)。
参照論文:Miyai et al, PNAS 2014;  Hojyo et al, PNAS 2014


図6.ZIP10を介した亜鉛シグナルはB細胞の恒常性と機能に必要である
A:B前駆細胞において、サイトカインによる細胞外からのシグナルはZIP10の発現を誘導する。ZIP10の亜鉛シグナルは、Caspaseの酵素活性を負に制御してアポトーシスを抑制する. Miyai et al, PNAS 2014
B:成熟B細胞において、ZIP10の亜鉛シグナルはCD45Rの酵素活性を制御することでBCRシグナルの過剰な活性化を抑制し、正常なシグナル強度を維持している. Hojyo et al, PNAS 2014